知的障碍者をダストレスチョークの生産ラインにつかせる日本理化学工業の取り組みが、FacebookでTBS NEWSから紹介されています。年間20万トンは廃棄されるホタテの貝殻を原料に使っていることと、生産ラインは知的障害者が長年携わっていることで注目されています。(キャッチ画像はTBS動画より)
小さなチョークにSDGsの可能性
FacebookにTBS NEWSが、ニュース番組のダイジェスト動画を投稿しました。
粉の出ないダストレス・チョークで3割のシェアを持ち、従業員の約7割が知的障害者という日本理化学工業の話です。
北海道美唄市の小学校で、黒板に色とりどりの線を引く小さなチョークに、SDGsの可能性が詰まっているというナレーションから動画は始まっています。
「(チョークは)字のカスレがなく、発色がいい」(板書する先生)
「重ねたら、いろいろな色になるので楽しい」(児童)
ベタ褒めされているチョークは、地元の理化学工業が作っています。
チョークの全国シェア7割を占め、海外20ヶ国にも輸出されているそうです。
こちらが、動画のOGPです。
【SDGs×コロナ後の世界】コロナでもフル稼働!チョークと働きがい https://t.co/PMSTrlg0HR @FacebookWatchより
— まめだぬき (@mame365march) February 24, 2021
動画によると、同社のチョークの特徴は2つあります。
廃棄する貝殻を“リサイクル”
ひとつはチョークの原料。
毎年20万トン近く捨てられている、道産のホタテの貝殻を使っています。
その貝殻を、独自の技術で5ミクロン(1000分の5ミリ)に砕き、練り上げることで、粉末が飛び散らない粒子の重いダストレスチョークが出来上がります。
チョークの主成分は、現在のチョークの原料は主に2種類あるそうです。
1つは石膏(硫酸カルシウム)で、もう1つが炭酸カルシウムです。
ホタテの貝殻が、その炭酸カルシウムです。
炭酸水素カルシウムは水に溶けるので、人間の体に取り込まれても塵肺として残らない。
つまり、廃材利用というだけでなく、使う人間の体にも優しいということです。
知的障害者を採用
チョークを無駄遣いする子がいたので、説教するよりはと思って日本理化学工業のチョーク製造と障害者雇用について説明した。
このチョークの書き心地の良さもさることながら、従業員ごとに働きやすく職場環境を工夫している点が好きです。https://t.co/fU6acAIGVI pic.twitter.com/icfcEbAY7f
— T先生 (@mechosense) February 19, 2020
日本理化学工業は、その貝殻チョークを1日20万本生産していますが、そのラインは27人の知的障害者が担当していることも動画では紹介しています。
同社は、60年前から知的障害者を積極的に雇用しているといいます。
日本理化学工業株式会社
学校で使うチョーク市場のシェア50%超
58年前から知的障害者の採用を始め、社員の7割超を知的障害者が占めるという。
こんなすごい会社があるとは??
東京新聞朝刊6/13 pic.twitter.com/APSPEKbeOs— ロスジェネ・フリーター(カジノ万博やめてコロナ対策に全力を?) (@hnhk1) June 14, 2018
日本理化学工業の本社は、神奈川県川崎市高津区。
たとえば、数字を読むことが苦手な人には、グラムではなく色で計量できるよう、目方に色の目印をつけて能力を引き出すことで、従業員は働く喜びを得るといいます。
「いい製品を送れるように、お客さんに喜んでもらうために働いています」(従業員)
障碍者を採用するだけでなく「能力を引き出す」
ここがポイントです。
「能力を引き出す」環境がキモ
同社は、従業員の7割が知的障害者、チョークの生産ラインはすべて障碍者が担当しているそうです。
ライン管理も職能があり、たまに欠勤者の代わりや、繁忙期に臨時で健常の従業員が入っても、足手まといになることもあるとか。
まさか、労働力として、障碍者>健常者のはずがない、と思いますか。
知的障害者もケースは様々ですが、自閉症由来の場合、日々ひたすら同一単純作業で、健常者には真似できないほどの集中力を発揮することがあります。
決まったことは絶対に欠かさず、すべての工程を完璧にまじめに守るんです。機械のように正確精密に。
まあ意見は多様というか、障碍者の親御さんにも「わかっちゃいない」人が一部にいます。
曰く、「障碍者と見下して単純な作業をさせているのは差別だ」と。
こういう不満は実話なんです。
もちろん、これはすべての知的障害者が、ルーチンワークを必ず確実にこなせるということではないし、知的障害者がそれ以外の仕事を選んではいけない、ということでもありませんから、そこは誤解なきよう。
ただ、同社の「能力を引き出す」環境によって、日々ひたすら同一単純作業の得意な知的障害者がその能力を全面開花している現実がある、ということです。
メディアでは、TBSだけでなくテレビ朝日やフジテレビでも取り上げたようですね。
舞台「幸福な職場」テレビ初放送 昭和30年代に日本で初めて知的障害者の雇用を取り入れた実在のチョークメーカー・日本理化学工業を題材:3月12日16:00からCSテレ朝チャンネル1で/ステージナタリー https://t.co/de09RHRksX pic.twitter.com/PZNyPA8j6T
— ダウン症ニュースWeb 編集部 (@jdsnews) March 6, 2017
#アンビリバボー を久々に見た。社員86人中、64人(7割)が知的障害という日本理化学工業の話。チョークのシェアは60%で、年商8億円。主力製品のほぼすべてを知的障害者たちが制作。15歳から68歳まで53年間勤務した林緋紗子さん(74歳)が仕事を続けられらた理由は「仕事が好きだから」。 pic.twitter.com/z35JKdQ9zX
— パース (@Peirce39) May 17, 2018
人材が命といいますが従業員と向き合った「人的資源管理」を
法律では、従業員50名以上を擁する会社は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」によって、従業員全体の2.0%以上障碍者を雇用することが義務付けられています(重度障害者の場合は2名として計算される)。
が、実際には「戦力にならない」と決めつけて、雇うだけで仕事を与えない会社もあるといいます。
これは、障碍者にとっても、会社にとっても不幸な話です。
クロネコヤマトのヤマトホールディングスが、同法で定められたグループ内企業の障碍者をまとめて採用する特例子会社において、パンと軽食のスワンカフェ&ベーカリーを運営し、障碍者を「戦力」としているのはまだまだ少ない例です。

それにしても、障碍のあるなしに関わらず、従業員の「能力を引き出す」ことをちゃんと考えている会社が、どれだけあるのでしょう。
いっくら「人材が命」とかいったところで、ノルマだけ与えて、できなければ使い捨てるという了見では、有望な人材は育ちません。
たんに職務内容を刷り込む「研修」だけでなく、会社は社員とミーティングを積極的に行い、その能力や適性を存分に発揮できるような環境を作ったほうが、その会社にとってもメリットが有るはずです。
みなさんの会社では、いかがですか。
以上、知的障碍者をダストレスチョークの生産ラインにつかせる日本理化学工業の取り組みが、FacebookでTBS NEWSから紹介されています、でした。
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