知的障害のあるフィギュアスケート選手・伊藤友里選手の活躍がメディアに取り上げられ、ネットで話題になることがあります。障碍者の親御さんにはいろいろいて、必ずしも「障碍者の活躍」のニュースを歓迎しない向きもありますが、前向きに受け止めたいものです。(キャッチ画像はハートネットTVの動画から)
スペシャルオリンピックスでメダルを獲得
Facebookのタイムラインに、2018年の動画が流れてきました。
北京オリンピックが開催されているからでしょうか。
ハートネットTVの『フィギュアスケートを続けられる喜び 女性アスリートの挑戦』というタイトルで、当時札幌市内の特別支援学校高等部に通うフィギュアスケート選手・伊藤友里さんを特集しています。
ご存じですか。
17歳 氷上の挑戦は続く https://t.co/xV4DNGJVPc @FacebookWatchより
— まめだぬき (@mame365march) February 13, 2022
こうキャプションが付いています。
知的障害者のスポーツ大会、スペシャルオリンピックスでメダルを獲得した注目の選手です。母とコーチに支えられた挑戦の記録をみつめます。(公開年:2018年)
3歳からフィギュアスケートを始めた伊藤友里さん。
15歳で初出場した全国大会でいきなり優勝。
翌年のオーストリアの世界大会では銅メダルに輝きました。
キャプションにある「スペシャルオリンピックス」というのは、知的障害者のオリンピックです。
パラリンピックは、身体障害者の大会ですからね。
その2年後の2020年の続報です。
2020 01 15 札幌市 女性・知的 障がい・フィギュア スケートで輝いて https://t.co/cx8wyazJtg @YouTubeより
— まめだぬき (@mame365march) February 14, 2022
特別支援学校高等部を卒業した伊藤友里さんは、パン工場で作業しているようです。
最近でこそ、パラリンピックが宣伝されていますが、障害者にもいろいろあって、知的障害者に光が当たる機会はあまりありませんでした。
動画をご覧になればわかると思いますが、伊藤友里さんは、母親やコーチとの会話の様子を見る限り、決して重度ではないと思われますが、だからこそ可視化しにくい障碍がなかなか理解されにくいという面があるのではないかと思います。
いずれにしても、特別支援学校(出身)の生徒が、これだけのスケーティングを行い大きな賞をとるのは、すばしいことだと思います。
伊藤友里選手は競技を行う上で、知的な障害のために、氷上で“両足をタイミングよく動かすことが難しい”といいます。
それを克服していく様子が描かれています。
頑張っていただきたいと思います。
障碍者だってやればできる、ではいけませんか
それはそれとして、障碍者の親御さんにもいろいろあって、こういうニュースを歓迎しない人もいますね。
かんたんに述べると、ヤキモチだと思うんですけどね。
自分の子供はより重度だからこうはできない。
どうしてウチだけが……、という感じです。
で、一応建前として、反対理由がある。
こういうニュースを一般の人が見たら、障碍者だってやればできる。やらない人は怠けている人に違いないと思われる、と。
そういう成功譚に批判的な人は、障害者のあらゆる努力や可能性追求の話が苦手のようです。
言い分は、必ずしも否定できません。
一面ではあたっていると思います。
発達障害は「しつけ」や「努力」で解決する問題と誤解している人はいますからね。
親の躾ができていれば、急に大声を上げたり、人とうまくやれないということはないだろうと。
でもそれは、こういうニュースがなくても誤解しているわけですから、理解させる取り組みは必要ではありますが、別の話だと思います。
私は、もっと前向きにとらえたいですね。
伊藤友里さんの障碍のステージがどうあれ、とにかく氷上で“両足をタイミングよく動かすことが難しい”という課題があり、それを克服することでさらに自己実現に向かっているわけです。
障害のあるなし、障碍の重さは人それぞれでしょうが、いずれもその人の自己実現に向かって前に進むため、伊藤友里さんの頑張りを見習おう、ということでいいのではないでしょうか。
この人はスケートまで出来るのに、どうしてうちはできないの、ではなくて、私も身の回りのことをするのが苦手だけどがんばってできるようにしようとか、そんな感じでいいのではないでしょうか。
Facebookの障害者のグループなどの投稿を見ると、障害者ですが頑張っています、ではなく、そもそも障碍者を頑張らせることが正しいのか、という批判的、というより後ろ向きな投稿が定期的に入ります。
障害者ですが頑張ってみました、というのは、別に頑張らないことを責めているわけではありません。
もっと大きな気持で受け入れてもいいのではないでしょうか。
以上、知的障害のあるフィギュアスケート選手・伊藤友里選手の活躍がメディアに取り上げられ、ネットで話題になることがあります、でした。
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