百ます計算を、遷延性意識障害(後に高次脳機能障害に「回復」)で、生後5ヶ月並みの知能に転落した長男に実践した回顧録

百ます計算を、遷延性意識障害(後に高次脳機能障害に「回復」)で、生後5ヶ月並みの知能に転落した長男に実践した回顧録

百ます計算を、遷延性意識障害(後に高次脳機能障害に「回復」)で、生後5ヶ月並みの知能に転落した長男に実践した回顧録です。2011年5月に受傷以来、身体や知能の様々なリハビリトレーニングを行いましたが、それもそのひとつでした。

百ます計算は、昨今のトレンドとなり賛否もいろいろあるようですね。

いずれにしても、基本となる計算力をつけるための実践に文句を言う人はいないでしょう。

事故で、生後5ヶ月並みの知能まで転落した我が長男は、療育型放課後等デイサービスを使って、

自力で計算できるまでになりました。

高次脳機能障害とはなんだ

高次脳機能障害については、これまで何度かご紹介してきました。

脳卒中、心筋梗塞、火災、溺水、交通事故、脳炎などによって、脳は酸素が行き届かなかったり、脳の組織が壊されたりしてダメージを受けます。

それが原因で、言語、記憶、注意、情緒といった認知機能の発揮に支障をきたす後遺症が残ることを高次脳機能障害と言い、該当者は全国に50万人くらいいるといわれています。

高次脳機能障害は、一般には外見からわかりにくいといわれていますが、それは会話や計算などの「知能」に支障を来さなかった軽度の場合で、重度であればあるほど、知能は失われ、寝たきり(遷延性意識障害)に近づくことになります。

たとえば、小林カツ代さんの息子のケンタロウさんの受傷時は、まさに遷延性意識障害に限りなく近い高次脳機能障害であったと思われます。

遷延性意識障害と、高次脳機能障害の違いは、自力で歩行したりご飯を食べたりできるかどうか、ということです。

いわゆる植物人間では、着替えなどもできません。

もっとも、高次脳機能障害の我が長男は、着替えができるといっても、後ろ前+裏返しという、究極の「反対」で着ることが日常化していますが、そのへんは問われず、また目印などをつけて、そうならないような努力もしています。

理学療法士、作業療法士との特訓

さて、2011年に受傷した我が長男は、知能指数が生後5~6ヶ月に転落。

知能指数が生後5~6ヶ月に転落

あまりに広範に脳が傷害されているため、障害の原因が特定できず、要介護5、1級身障者相当の遷延性意識障害と診断されました。

そこからいろいろあって、6ヶ月目には立てるようになり、10ヶ月目には言葉を発するようになったのですが、当時7歳でしたから、このまま人生を重度の中途障害者で終わらせてしまうのは忍びなく、できるリハビリは積極的に取り組みました。

受傷後6年にわたって、リハビリクリニックで、理学療法士や作業療法士に身体のリハビリを受けました。

まず、自力で歩くことからです。

これは自分で立って歩けるようになって1ヶ月目。

自分で立って歩けるようになって1ヶ月目

戯れているのではなく、理学療法士が後ろから支えて歩く練習です。

排泄も一人ではできませんし、入浴もネッコロがして洗っていました。

そこから1年、2年とリハビリを続けることで、自力で歩き、エジソン箸を使ってものを食べ、1人でトイレで用をたせるようになりました。

IQも少しずつ上ってきましたが、鉛筆も握れず、計算もできず、そもそも設問が並ぶと、自分が見るべき数字がわからなくなっていました。

私の妻も一時期そうだったのですが、高次脳機能障害者には、ボタン(階数)が多い高層ビルのエレベーターが苦手です。

ボタン(階数)が多い高層ビルのエレベーターが苦手

数字が細かい間隔で密集していると、そこから自分の求める階数を見分けることができないからです。

視覚機能そのものの欠損ではなく、目と脳、指と脳をつなぐ神経が壊れているのだろうと思われます。

脳は壊れても計算はできる

そこで、計算機を使って計算、自分が説いている設問には指を当てて、目を離しても見失いを防ぐようにしました。

目を離しても見失いを防ぐようにしました

自分が説いている設問には指を当てる

これによって、四則演算、さらに分数も学習することができるようになりました。

ただし、やはり自分で書いて、自分の脳で計算することが本来のあり方です。

それには、「計算できる」もそうですが、それ以前に、「鉛筆を握れる」という課題もありました。

人差し指がペンを巻き込み、力が入るとペンが斜めになって書けなくなってしまいます。

人差し指がペンを巻き込み、力が入るとペンが斜めになって書けなくなってしまいます。

ゴム製の指のエクササイズIIを指にはめて、広げたり引っ張ったりして指の力を鍛え

エクササイズII

指を伸ばしたり戻したりします。

指を伸ばしたり戻したりします

そして、人差し指の巻き込みは、作業療法士のアドバイスで、クリップを付けて矯正することで、

クリップを付けて矯正する

次第に握る能力は回復してきました。

工夫って大事ですね。

そして、もっとも重要な「計算できること」については、療育型の放課後等デイサービスを利用することにしました。

放課後等デイサービスで積み木を使った計算レッスン

2012年の児童福祉法改正により設置された放課後等デイサービスとは、定型(健常)児にとっての学童保育、情操教育、学習塾などといった放課後活動のすべてを含む福祉制度です。

施設のタイプには、

  • 習い事型
  • 学童保育型
  • 療育型

があり、「学習塾」にあたるのが療育型。

都心にある療育型施設で、2013年から勉強しています。

「見失い」については、まずマス目の大きなところに数字を書く練習を行い、徐々にマス目を細かくして数字の密集について目を慣らすようにしました。

あとは数稽古です。

いくら正しい理論に基づいたことでも、繰り返して覚えなければなりません。

障碍児療育に限らず、教育はミーティングと反復練習です。

理論が間違っても、努力が足りなくても成就しません。

たとえ単純な勉強でも、親御さんの判断で完結する家庭学習ですべて済ませるよりは、こうしたデイサービスで専門家に見てもらうのもいいのではないかとおもいます。

障碍があっても諦めないこと

今回、この話を書いたのは、放課後等デイサービスが次々参入している昨今ですが、療育型というのが少なくて、また障碍児の親御さんも、最初から諦めているのか、あまり積極的に療育型を求めてお子さんを入れることをしていないように私には見えたからです。

中途障害と生まれついての発達障害では事情が違うかもしれませんが、長男ががお世話になっている施設からは、私がこれまで、このブログでご紹介したことがある高等学校に、進学している発達障害の生徒さんも毎年出ています。

中には、無理に勉強させることはいけない、という意見を持つ障碍児の親御さんもおられますが、無理かどうかの線引はどうやって決めているのでしょうか。

もう少し、いろいろな事を身につけさせて社会に送り出したい、とお考えなら、療育型のデイサービスに1度相談に行かれることをおすすめします。

以上、百ます計算を、遷延性意識障害(後に高次脳機能障害に「回復」)で、生後5ヶ月並みの知能に転落した長男に実践した回顧録、でした。

<教育技術MOOK>陰山メソッド 徹底反復「百ます計算」 - 陰山 英男
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