『発達障害の子の脳を育てる運動あそび』(柳澤弘樹著、講談社)は、脳にさまざまな刺激を与える運動を紹介しています。前頭葉が活性化し、落ち着きのない子も集中力がつき、気持ちのコントロールもうまくできるようになるといいます。
発達障害とは能力の発達が定型的でなく凸凹がある
『発達障害の子の脳を育てる運動あそび』は、柳澤弘樹さんが講談社から上梓した書籍です。
発達障害の子供に、図解で紹介された運動あそびを行うことによって、落ち着き、集中力、やる気、自信、自分で考え実行する力などをつけさせるという内容です。
発達障害というのは、さまざまな能力障碍の総称です。
発達障害者には、知能(いわゆる愛の手帳)、運動能力(身障者手帳)、情緒(精神障害者保健福祉手帳、いわゆる緑の手帳)などがあります。
それらのすべて、または一部分の能力が弱いと発達障害に該当します。
「発達」といいますが、子供だけの固有の概念ではありません。
克服できずにそのまま成長したり、おとなに、なってからその所見が明らかになったりします。
また、発達障害は、生まれついての障碍とは限りません。
本来そうではない健常の子供が、事故や感染症などで機能を失った場合も含まれます。
要するに理由や事情は関係なく、能力の発達が定型的でなく凸凹のある 場合は発達障害となるわけです。
定型発達の子どもと発達障害の子供では、脳の活動も異なることが報告されています。
さすれば、定型発達の子どもとは異なる療育や運動が必要となるわけです。
そこで本書『発達障害の子の脳を育てる運動あそび』です。
集中力、実行力、自信などを養うことを説き、家庭でできる「運動あそび」を図解で紹介しています。
本書によると、運動遊びは3つの効果があるといいます。
- 落ち着きと集中力が身につく
- やる気と自信が芽生える
- 自分で考えて実行する力が育つ
具体的には、次の「家庭で楽しくできる運動遊び」を紹介しています。
- その場かけっこ
- カンガルーのおつかい
- マリオネットジャンプ
- ガリバーバランス
- 人間メリーゴーランド
- カカシの警備員など
アスペルガーやADHDなど、比較的軽度の発達障害が対象と思われますが、該当するお子さんの子を持つ親御さんによると、軽度だからこそ理解やヘルプが十分ではないそうです。
子供が発達障害である親は、子供のために何かをしてやりたいと思うのですが、では何をしたらいいのかがわからず、困っています。
その意味で、有用な書籍です。
この柳澤弘樹式「運動あそび」を採り入れている放課後デイサービス(発達障害者の学童保育のようなもの)も自治体によってはありますから、もうご存知の親御さんもおられるかもしれませんが、親だけでなく、たとえば支援学級の教員にも読んでいただきたい内容です。
時間をかけてゆっくり回復へ
私の長男は、一酸化炭素中毒による低酸素脳症になりました。
そこで、いったんは遷延性意識障害になりましたが、後に高次脳機能障害まで「回復」しました。
子供の高次脳機能障害は、発達障害として扱われます。
つまり、中途障害による後天的な「発達障害」です。
その場合、知能、運動能力、情緒のいずれかに支障をきたすといわれているのですが、長男の場合、大脳基底核を傷めて、そのすべてに影響が出ました。
外界の刺激による自然的経過とリハビリにより、日常生活をおくれるところまで回復しましたが、現在でも軽度とは言えない高次脳機能障害が残っています。
高次脳機能障害が、どのような症状が出るかは人によってさまざまなのですが、私の長男の場合、たとえばはめ込みや挿入、模写などが苦手です。
同じ発達障害でも、一部の自閉症児が得意とするジグソーパズルなどは全くできませんでした。
模写が苦手ということは、先生が見本を示して、そこから学ぶこともスムーズに出来ないわけです。
形を認識する機能が壊れてしまったようです。
縦と横の区別がつきにくく、たとえば自動販売機でお金を入れることができませんでした。
縦に入れるべきところを、横に入れようとしていました。
ただ、何度も練習すると克服できます。
また、はめ込みも、ごく少ないピースならできるようになってきたので、今後の訓練で徐々にできるようになってくることを期待しています。
これは、同じようなケースのすべての受傷者がそうなるというわけれではありません。
もっと歳をとっていたら、可塑力が落ちていたでしょうし、もっと小さかったら、言葉など獲得していた能力が少なかったので、いずれにしても今の状態にはならなかったでしょう。
しかし、それをもって、「不幸中の幸い」の「幸い」を強調するような慰め方をされると腹が立ちますけどね。
不幸であることは動かしようのない現実ですから。
いずれにしても、私の長男の「発達障害」は、他の方と違いレアケースであるので、固定された障碍と決めつけずに、回復を前提とした、だけれども時間を区切って焦らないオーダーメイドのカリキュラムが必要なので、本書のような専門家の情報は積極的に求めていこうと思っています。
世に出ている情報や体験談も不十分
いずれにしても、「脳」の障碍は、実は医師・医学者でもわかっていないことが多々あり、三大疾病や糖尿病などの闘病記に比べると、まだまだ世に出ている情報や体験談も十分ではありません。
私もよく、ブログを読んでくださった方から、相談のメールをいただくことがあります。
私自身も、当時は情報を得られず苦労したので、同じ立場に陥った人のためにより詳しい経過も発表したほうがいいかなと思うのですが、断片的なことはプログ記事に書いても、時間の経過ごとにどうなったか、という具体的でまとまった闘傷記の発表には踏みきれませんでした。
これからは、時間と心の余裕を作って、書けるように頑張りたいと思います。
以上、『発達障害の子の脳を育てる運動あそび』(柳澤弘樹著、講談社)は、脳にさまざまな刺激を与える運動を紹介しています。でした。
発達障害の子の脳を育てる運動遊び 柳沢運動プログラムを活用して (健康ライブラリー) – 柳澤 弘樹
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