インクルーシブ教育は障がいの有無にかかわりなく誰もが地域の通常学級で学べることを目指す教育理念と実践プロセス

インクルーシブ教育は障がいの有無にかかわりなく誰もが地域の通常学級で学べることを目指す教育理念と実践プロセス
発達障害児やその親御さんに、注目されているのがインクルーシブ教育です。ご存知ですか。すべての子どもたちが障がいの有無にかかわりなく、誰もが望めば自分に合った配慮を受けみんなが地域の通常学級で学べることを目指す教育理念と実践プロセスです。



最近注目されているインクルーシブ(inclusive)とは、「包括的な」「包み込む」という意味です。

健常児も、健常の範疇にあるけれど弱点がある子でも、障がい児でも、一緒に学ぶことです。

しかし、それが問題なくできるなら、最初から支援学校や支援学級などはありません。

では、インクルーシブ教育とは、具体的に何を目指しどのようなことを行うのか。

それを知るために、『発達支援ワークショップ~学校選択とインクルーシヴ教育~高校支援級設立へむけての提言』に参加してきました。

講師は逗子市教育研究所の井ノ山正文氏です。

井ノ山氏は、Q-U(学級集団の状態を把握するための心理検査)の他、学級経営、対人関係ゲーム、ソーシャルスキル教育(SST)、特別支援教育を専門としており、小学校と中学校を中心に研修会・講演の講師をしています。

この日のテーマは、インクルーシブ教育とは何か、発達課題のある子の進路選択についてです。

現在、我が国では発達障害を含め、障害のある子に対する特別支援教育は、それぞれの障害の種類や程度に応じて、特別支援学校、特別支援学級、通級などでの指導が行われています。

しかし、こうした障害児を分離する教育ではなく、すべての子が共に学ぶ、というのがインクルーシブ教育です。

健常児と障害児とが同じ空間で学ぶ統合教育と似ていますが、インクルーシブ教育は、お互いの違いを受け止め、障害のあるなしに関わらず、みんながそれぞれの教育的ニーズに応じて学ぶという教育概念です。

インクルーシブ(inclusive)は「包み込む、包括的」という意味を持ちます。

どんな子でも包み込むように受け止め、公平に教育を行うのです。

ここでいう「公平」とは「みんな同じ」ということではありません。

発達障害の子の認知や行動において、社会生活を送る上で不利益になる部分への配慮をし、その子の段階に合わせて学べる環境を整えるということです。

たとえば過去にあった嫌なことが突然フラッシュバックして、椅子をガタガタさせたり机をバンバン叩いたりする子がいたとします。

そんな時は「みんなが勉強できない、静かに座りなさい」と注意するのではなく、クールダウンできるよう静かな別室で過ごせるようにする、といった配慮です。

短期記憶が保持できないために板書を写すことが間に合わず、いつもノートが白紙のままの子には、黒板を撮影して保存しておけるタブレットなどのデジタル機器の使用を認めるといったことも、教育的ニーズに合わせた配慮と言えます。

こうした、障害による障壁(バリア)を取り除くための配慮を「合理的配慮」と言います。

インクルーシブ教育では、この合理的配慮がポイントとなります。

そして、合理的配慮と同時に大切なのが環境調整です。

障害に対する国際的な分類として、世界保健機関(WHO)が2001年に採択したICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)では、その人を取り巻く環境も、活動に影響を与える要素のひとつであるとしています。

たとえば、学校や職場での障害に対する差別的な言動、世間体を気にする家族の態度などで、社会参加が難しくなってしまうことがあります。

障害に対する直接的なサポートだけでなく、本人を受け入れる環境が整っていることも、インクルーシブ教育では重要となります。

発達障害児の学校選び、大切なことは

障害者の権利に関する条約の批准、学校教育法施行令の一部改正、発達障害者支援法など、障害者を取り巻く環境が大きく変わる中で、文部科学省ではインクルーシブ教育システムの推進に向けた取組みを行っています。

それぞれの教育的ニーズに応じた支援を、就学前から行えるようにしようというものです。

東京都でも、障害者や東京都を取り巻く状況の変化に対応するため、特別支援教育推進計画が策定されています。

都立高校における通級による指導もそのひとつです。

平成30年より、都立秋留台高等学校をパイロット校として、特別支援教育を推進する教育課程が開設されます。

障害児やその親にとっては、進路選択の幅が広がることになりますね。

進路選択、学校選びは健常児でも悩みや迷いがつきものですが、障害児ではなおさらです。

今は従来の分離教育からインクルーシブ教育へと移行しつつある段階ですが、学校選びも、能力に応じた学校というよりは、教育的ニーズに合った学校を、という方向へシフトしていくのではないかと思います。

その際に重要となるのがIEP(Individualized Education Program)、個別の教育支援計画です。

本人が何に困っているのか、ニーズが明らかにならなければ、配慮の内容、環境調整も進みません。

医療や福祉とも連携しながら、教育支援計画をしっかりと作成し、適切な支援、援助を受けることが大切です。

そして、リソース、資源を見つけることです。

これは福祉制度や施設、手当といった社会資源や、学校や教育に関する情報資源などです。

保護者は普段から、本人の教育や就労に関して、いろいろな方面から調べておくことが必要です。

これは障害児に限らず、健常児についても同じことが言えるでしょう。

インクルーシブ教育ってどんな教育? (インクルーシブ発想の教育シリーズ) -
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